緊急出版!
人工知能は罪を裁けるのか

有罪、とAIは告げた

著者  :中山 七里  (なかやま しちり)
定価  :1760円(税込)
発売日 :2024.2.14
ページ数:256ページ

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緊急出版!半歩先のリアルを描く、
リーガルミステリ!

東京地方裁判所の新人裁判官・高遠寺円は、日々の業務に忙殺されていた。公判、証人尋問、証拠や鑑定書の読み込み、判例等の抽出、判決文作成と徹夜が続く。

東京高裁総括判事の寺脇に呼び出された円は、ある任務を命じられる。中国から提供された「AI裁判官」を検証するというものだ。〈法神2号〉と名付けられたその筐体に過去の裁判記録を入力する。果たして、〈法神〉が一瞬で作成した判決文は、裁判官が苦労して書き上げたものと遜色なく、判決もまた、全く同じものだった。業務の目覚ましい効率化は、全国の裁判官の福音となった。しかし円は〈法神〉の導入に懐疑的だった。周囲が絶賛すればするほどAI裁判官に対する警戒心が増す。

そんなある日、円は18歳少年が父親を刺殺した事件を担当することになる。年齢、犯行様態から判断の難しい裁判が予想された。裁判長の檜葉は、公判前に〈法神〉にシミュレートさせるという。データを入力し、出力された判決は――「死刑」。ついに、その審理が始まる。

罪は、数値化できるのか。裁判官の英知と経験はデータ化できるのか。連載、即緊急出版! 
目前に迫るあり得る未来に、人間としての倫理と本質を問う法廷ミステリー。
  
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刊行記念著者エッセイ
AIなんて知るか、と作者は言った

「AI裁判について書きませんか」

 小学館の担当者から提案があったのは前作の連載が終了した直後だった。こちらはただの下請けなので、注文がきたら請け負うだけだ。二つ返事で承諾した後、はたと困った。

 AIとは人工知能のことで、最近ではChatGPTなる対話型が登場している――くらいはニュースで聞き知っている。だが、その程度でしかない。そもそもAIの基本概念から危ういのだ。

 ヒトと人工知能の関わりというテーマなら『2001年 宇宙の旅』がその嚆矢と言えよう。人工知能が感情を持ち、やがてヒトに反逆するストーリーは『ターミネーター2』で王道と化し、『アベンジャーズAge of Ultron』に引き継がれる。一方、人工知能について好意的に描かれているのがスピルバーグ監督の『A.I.』や最近では『アイの歌声を聴かせて』といったところ。

 概してAIを好意的に描くものよりは脅威として捉える作品が多い印象を受ける。少し考えてみれば見当がつく。AIが何たるかを理解していない者が多いからそうした傾向が顕著ではないか(理解の及ばないものに、人は恐怖を感じるものだ)。AIが生活の中に溶け込めば溶け込むほど、好意的な者とそうでない者の差が激しくなると推測される。

 僕はと言えば、好意や悪意以前に基本概念すら危ういのだから、まずは勉強から始めなくてはいけない。ところが執筆当時、AI裁判について書かれたものは皆無に等しく、参考となる資料もわずかで勉強のしようもない。

 呻吟した挙句、僕はヒトVS人工知能という図式そのものが古いことに思い至った。これだけ生活に溶け込んでいるのであれば、悪用しようとする者が必ず現れる。そこに現代の犯罪を照射する術があるのではないかと考えたのだ。

 すると、あっという間にストーリーが出来上がった。おお、これで連載に間に合う。

 本作はこうした経緯で生まれた。楽しんでいただければ幸いである。

  
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刊行記念著者エッセイ
AIなんて知るか、
と作者は言った

「AI裁判について書きませんか」

 小学館の担当者から提案があったのは前作の連載が終了した直後だった。こちらはただの下請けなので、注文がきたら請け負うだけだ。二つ返事で承諾した後、はたと困った。

 AIとは人工知能のことで、最近ではChatGPTなる対話型が登場している――くらいはニュースで聞き知っている。だが、その程度でしかない。そもそもAIの基本概念から危ういのだ。

 ヒトと人工知能の関わりというテーマなら『2001年 宇宙の旅』がその嚆矢と言えよう。人工知能が感情を持ち、やがてヒトに反逆するストーリーは『ターミネーター2』で王道と化し、『アベンジャーズAge of Ultron』に引き継がれる。一方、人工知能について好意的に描かれているのがスピルバーグ監督の『A.I.』や最近では『アイの歌声を聴かせて』といったところ。

 概してAIを好意的に描くものよりは脅威として捉える作品が多い印象を受ける。少し考えてみれば見当がつく。AIが何たるかを理解していない者が多いからそうした傾向が顕著ではないか(理解の及ばないものに、人は恐怖を感じるものだ)。AIが生活の中に溶け込めば溶け込むほど、好意的な者とそうでない者の差が激しくなると推測される。

 僕はと言えば、好意や悪意以前に基本概念すら危ういのだから、まずは勉強から始めなくてはいけない。ところが執筆当時、AI裁判について書かれたものは皆無に等しく、参考となる資料もわずかで勉強のしようもない。

 呻吟した挙句、僕はヒトVS人工知能という図式そのものが古いことに思い至った。これだけ生活に溶け込んでいるのであれば、悪用しようとする者が必ず現れる。そこに現代の犯罪を照射する術があるのではないかと考えたのだ。

 すると、あっという間にストーリーが出来上がった。おお、これで連載に間に合う。

 本作はこうした経緯で生まれた。楽しんでいただければ幸いである。

推薦コメント

落合陽一氏(メディアアーティスト)
AIによる断罪は、アルゴリズムの中で魂を見失うのか
データの海に、人間の思考は自然や凪を生むのか。
法的意識をデジタルの深淵へと誘う一冊
大森望氏(SF翻訳家・書評家)
司法判断に感情は必要か否か。
人を裁くのは心か論理か
”20分後の未来”について考えさせられるリーガルサスペンス
メリット
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全国の書店員さんからも絶賛の声!

田村書店 吹田さんくす店 村上さん
さすが中山七里先生、とうなる一冊でした。現実になりそうな設定。もし自分が裁判の関係者だったら、AIの介入をはたして受け入れるだろうか。それがとても恐ろしく、また考えさせられて、最初のページから最後のページまでずっとゆっくり読みました。
ラストには心にしみ、読中よりさらに考えさせられました。そして「考え続けなければならないのだ」という想いも強く感じられました。ほんとうに完成度の高い社会派ミステリー。たくさんの方に読んでほしい作品です。
紀伊國屋書店 鶴見大学ブックセンター 伊勢川さん
AIは人をどう裁くのか、ということを通じ、人が人を裁く意味を 問われ続けた読書体験。最後まで読むスピードを緩めることができず一気読みです。AIに対して過度に不安を感じる人にも、それとは反対に都合の良い未来を描く人にも、ぜひ読んでほしい1冊です!

見出し
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あおい書店 富士店 望月さん
人を裁くのは人。判決を前に幾人もの人の手で捜査がなされ検証、鑑定が真実を明らかにしていく。円のAIに頼らない強い信念と警鐘を感じ取った鋭い勘は持って生まれたものなのか、祖母の遺伝か。最後の1ページまで手を止められない程の面白さと、感動が私の中を駆け抜けていった。
紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡さん

AIと人類の未来を警鐘するような人間ドラマ!! すごすぎました!!最高です!!
AIが裁判官という驚きのテーマに息を呑みました! そして、裁判に関するあらゆるデータや、過去の判決を元に導かれる答えが人間を超えてしまう・・・!?
そんな心のざわめきが止まらない展開に、どんどん心拍数が上がっていくようでした。 AI開発や導入が進む現代でも起こりえる物語。
そのあまりのリアリティに、まるでドキュメンタリー映像を見ているようでした。 AIが人を裁く未来はありえるのか...本当の「有罪」とはどういうことなのか...私達の日常に近く、多くの問いが残る革新的な社会派ミステリー!
ラストでの、事実が真実へと変化していく様子に震えました...あまりの衝撃に絶句必至...!  データでは割り切れない、人として忘れたくない大切なあるメッセージが、ずっと胸に残っています。 人だからこそできること。人に考え続けてほしいこと。そんな無限の可能性と未来を切り開く力をいただきました!!

見出し
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編集者からのおすすめ情報

日々進化し続ける人工知能。AI裁判官が実務を行うようになったら――という現実の半歩先を行く「IF」をどんでん返しの帝王が描きます。裁判官の倫理と英知、正義とはなにかを考えさせられる、今こそ読んでいただきたい傑作です。

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著者プロフィール

中山七里(なかやましちり)

1961年生まれ、岐阜県出身。
『さよならドビュッシー』にて第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年デビュー。「岬洋介」シリーズ、「御子柴礼司」シリーズなど多くの人気シリーズを執筆するほか、『護られなかった者たちへ』『セイレーンの懺悔』『作家刑事毒島』など映像化作品も多く手がける。
著者近影:撮影/松田麻樹

中山七里の他おすすめ作品

小学館文庫
人面瘡探偵
名探偵は肩にいる!? 不可解連続殺人の謎

三津木六兵には秘密がある。子供の頃に負った右肩の怪我、その傷痕がある日突然しゃべりだしたのだ。人面瘡という怪異であるそれを三津木は「ジンさん」と呼び、いつしか頼れる友人となっていった。

そして現在、相続鑑定人となった三津木に調査依頼が入る。信州随一の山林王である本城家の当主・蔵之助の死に際し遺産分割協議を行うという。相続人は尊大な態度の長男・武一郎、享楽主義者の次男・孝次、本城家の良心と目される三男・悦三、知的障害のある息子と出戻ってきた長女・沙夜子の四人。さらに家政婦の久瑠実、料理人の沢崎、顧問弁護士の柊など一癖ある人々が待ち構える。
家父長制度が色濃く残る本城家で分割協議がすんなり進むはずがない。財産の多くを占める山林に希少な鉱物資源が眠ることが判明した夜、蔵が火事に遭う。翌日、焼け跡から武一郎夫婦の焼死体が発見された。さらに孝次は水車小屋で不可解な死を遂げ……。一連の経緯を追う三津木。そんな宿主にジンさんは言う。
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隠れキリシタンの島で起きた、密室殺人の謎

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そんななか、宮司は孫の匠太郎に職を継ぐべく儀式を行う。深夜まで祝詞を上げる声が途切れたと思いきや、密室となった祈祷所で死んでいる匠太郎が発見された。
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毒舌人面瘡のジンさん&ポンコツ相続鑑定士ヒョーロク、今度は孤島の密室殺人に挑む!
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セイレーンの懺悔
マスコミは人の不幸を娯楽にする怪物なのか

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多香美が辿り着く、警察が公表できない、法律が裁けない真実とは――
「報道」のタブーに切り込む、怒濤のノンストップ・ミステリ。