いま最注目の若手作家
辻堂ゆめの最新刊!

山ぎは少し明かりて

著者  :辻堂 ゆめ  
定価  :1,870円(税込)
発売日 :2023.11.15 
ページ数:320ページ

全国の書店または
こちらでご購入いただけます

母が守りたかったもの、それは?

瑞ノ瀬村に暮らす佳代、千代、三代の三姉妹は、美しい自然の中をかけまわり元気に暮らしていた。大切な人が戦地から帰ってくる日も、村中から祝われながら結婚式を挙げた日も、家で子を産んだ日も、豊かな自然を讃えた山々の景色が、佳代たちを包み込み、見守ってくれていた。あるときそんな瑞ノ瀬村に、ダム建設計画の話が浮上する。佳代たちの愛する村が、湖の底に沈んでしまうという。佳代は夫の孝光とともに懸命に反対運動に励むが──。
 
定年退職まで営業部で忙しく働く佳代の娘・雅枝と、海外留学先であるイタリアで「適応障害」になり、1ヶ月と少しで実家に帰ってきてしまった孫・都。湖の底に沈んだ瑞ノ瀬への想いはそれぞれにまったく異なっていた。

大藪春彦賞受賞、吉川英治文学新人賞ノミネートなど、いま最注目の若手作家・辻堂ゆめの最新刊!
都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。


瑞ノ瀬を愛していた祖母
瑞ノ瀬を時に悪く言う
彼女たちが過ごした水底の村には、
いったいどのような空気が流れ、
どのような声が聞こえていたのだろう。(本文より)

者エッセイ-作品によせて-

揺らぐふるさとと憧れ

 ふるさとという言葉に妙に惹かれていた。小学生の頃から。
 ペンネームの「辻堂」は、神奈川県藤沢市にある地名だ。「出身地から名前を取った」と取材などではよく説明する。父は横浜生まれ、辻堂育ち。母も神奈川育ち。つまり私は二世だ。だけど0歳から9歳まで、父の転勤の都合で、私は茨城県水戸市で育った。
 偕楽園の梅を誇る水戸。給食のときに納豆が苦手だと言いづらい雰囲気のある水戸。駅から離れるとのどかな田んぼが見える水戸。大好きだった。当たり前のように、私は自分を水戸の人間だと思い、地域への愛着を醸成していた。
 そんな中で、たまに違和感を覚えることがあった。家でお喋りをしていると、両親に注意されるのだ。石橋さん、という苗字の友達の話をしたとき。数字を60まで数え上げたとき。学校で習った九九を暗誦したとき。先生さようなら、の挨拶を口に出したとき。全部、イントネーションが誤っているのだという。
 両親が標準語話者なのだから、方言を矯正したかったのは理解できる。でも0歳から水戸で育った私は混乱していた。私は水戸出身じゃないのか? 学校で習ったとおりに言っているだけなのに、なぜ注意されなければならないのか?
 その後、小4で父の出身地である辻堂に引っ越すと、両親との食い違いは綺麗さっぱりなくなった。ああ、私の本当のふるさとってこっちだったのかな、と思い始めた矢先、父の転勤でアメリカに引っ越した。中1の5月からの4年間がすっぽり抜けて、私はまた辻堂に戻った。ようやく出身地が神奈川だと言えるようになったのは、居住年数が長くなってきた大学生の頃だ。自分のアイデンティティがついに定まった気がして、深く安堵した。
 それでも、今もネットで心無い言葉を目にすることがある。「うわ、辻堂ゆめって地元出身じゃないじゃん、外部の人間が名乗るのやめてほしいわ」──ごめんなさい、としか言えない。出身とするには小学校に入学しなきゃいけなかった? 中学校を卒業しなきゃいけなかった? 地元の友達から成人式の同窓会のライングループに招待され、喜んで承諾ボタンを押したら、「関係ない人は出てってください」と100人以上が見ているトーク画面で幹事に言い放たれた悔しさは、未だに胸にこびりついている。

 ふるさと。揺るぎないそれを持つ人に、私は羨ましさを抱いているのかもしれない。『山ぎは少し明かりて』は、ふるさとというものの揺らぎと、憧れとを詰め込んだ物語だ。

※上記エッセイは「小説丸」にて公開中

国の書店員様から届いた感動の声

切なくて悲しくて頭がパンクするくらい泣きました。
感情を全部もって行かれるくらいすごい物語でした。

未来屋書店武蔵狭山店 柴田路子さん

物語に没入して一気読み。涙に咽び読み終えて暫くは放心状態。壮大な「故郷」をめぐる人間ドラマに、魂を揺さぶられました。巧緻に張り巡らされていた伏線がつながり、そして続くエピローグに、胸の奥からあふれるようにとめどなく涙が流れました

紀伊國屋書店久留米店 池尻真由美さん

三つの願いに込められた想いを知り、
切なさや愛しさが胸いっぱいに広がり涙してしまいました。

紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん

 美しい湖の情景に隠された激動の家族の物語。
後半に進むにつれ、涙が止まらなくなった

ブックセンタークエスト小倉本店 竹内裕美さん

見出し
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

まさに女三代の一大叙事詩。
ラストに思わず感涙。令和版『百年の孤独』

六本松蔦屋書店 峯多美子さん

父と母に会いたくなった
どんなに景色が変わっても自分の思う故郷は自分が子どもの時に見たあの景色のままです。帰りたい。あの頃に

喜久屋書店 大和郡山店 山田純子さん

最後まで読み終わり、もう一度読まずにはいられなくなり、二度目に見えた景色は私の中でも変わっていました

未来屋書店入間店 佐々木知香子さん

見出し
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

著者プロフィール

辻堂 ゆめ

1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。
第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、『いなくなった私へ』でデビュー。
2021年『十の輪をくぐる』で第42回吉川英治文学新人賞候補、2022年『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞を受賞した。
他の著書に『コーイチは、高く飛んだ』『悪女の品格』『卒業タイムリミット』『あの日の交換日記』など多数。

文庫化決定! 12月6日発売

十の輪をくぐる
2021年へ!時代を貫く親子三代の物語
スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。