その真実に、
きっと涙する――。

私が愛した余命探偵

著者  :長月 天音 (ながつき あまね)
定価  :803円(税込)
発売日 :2024.02.06
ページ数:336ページ

全国の書店または
こちらでご購入いただけます

菓子店で起こるささやかな事件が、二人の未来を照らし出す。

六年間、夫の闘病生活を支えた著者。亡き夫に捧ぐ、勇気をもらえる愛の物語。

「今日はどんなお客さんの話?」
西荻窪にあるコイズミ洋菓子店で働く二葉には、腹部に肉腫を抱え長期入院中の夫、一星がいる。
一星は大のケーキ好きだが、禁食のため空腹と暇を持て余しており、いつしか、二葉が店から持ち帰るささやかな謎を解き明かすことが二人の楽しみとなった。

幼い女の子が香りを頼りに一人探し続ける「楽しいお菓子」とは?実家を出た娘の誕生日ケーキを毎年購入し、記録し続けた亡き両親の真意とは?そして、謎に隠された様々な想いに触れた二人が選ぶ未来とは――。

「ほどなく、お別れです」シリーズ著者、渾身の書き下ろし。

目次

【第一話】 楽しいお菓子 女の子の探しもの
【第二話】 世にも有名なロールケーキの謎
【第三話】 待ち人と甘い歯磨き粉
【第四話】 バースデーケーキの秘密
【第五話】 注文だらけのオリジナルケーキ
  
このブロックはスマートフォンの画面サイズで非表示設定になっています
公開ページで表示したい場合は「ブロックの設定」から変更してください

刊行記念著者エッセイ
『悲しい』よりも『楽しい』がいい

私は夫を自宅で見送った。自宅といっても賃貸のマンションである。

一緒になった時に2人で選んだ部屋であり、いつかはまた別の住まいへと移っていくものと思っていた。しかし、その部屋が夫にとって終の棲家となった。そこでの暮らしはわずか6年である。入退院を繰り返す夫と枕を並べて眠ったのは5年に満たないと思う。短い。最後の半年は在宅緩和ケアに切り替え、訪問看護に支えてもらいながら密度の濃い時間を過ごした。

夫の呼吸に耳を澄ませ、わずかに上下する胸を見て安堵し、いつも冷たく乾いた手を握って眠った。いや、実際にはほとんど眠ることなどできなかった。でも、私は願った。このままこの状態でもいいから、ずっと一緒にいたいと。

遠からず必ず消えると知っている命を見守るのは苦しい。その苦しさを抱えながら、愛する人のために懸命に生きる姿を描きたいと思った。おそらく根底にはつねに悲しみがある。恐怖があり、不安があり、虚しさがある。しかし、まだ彼はそこにいる。暮らしも守らなくてはいけないから仕事も続ける必要がある。その状況でも「最高」と思える日々を送れたら……。

そういう時こそ笑いと明るさが必要だと思う。ささやかな笑いでいい。から元気でもいい。そうしていれば何だか「大丈夫」と思うことができる。お世話になった看護師さんも、ヘルパーさんも皆、明るかった。元気でパワーがあった。夫も笑った。彼ら、彼女たちが帰った後、「楽しかったね」と2人で笑っていた。

そんな日々を物語にしたら『私が愛した余命探偵』はでき上がった。

幸せだけど、儚い日々を繊細なケーキに重ねた。ケーキは一時の幸せだ。しかし、パティシエの労力を惜しまない仕事が隠されている。華やかで繊細な形状。何層にも重なる違う味わい。中央に驚くべき仕掛けが隠れている場合もある。それらが見事にまとまり、完成されたケーキとなる。単純ではなく、いくつもの異なる要素が絡み合う。甘かったり、酸っぱかったり、ビターな場合もある。少し人生に似ている。

実は、私は洋菓子店で働いたことがある。クリスマスの時期は死ぬほど忙しい。何日も終電に間に合わないほどケーキと格闘する。もうやるものか、と何度も思った。しかし、私はその店を辞めた後、別の洋菓子店でも働いた。ようは、やっぱり楽しいのである。

愛すべき、けれど憎らしいケーキは、確実に人を幸せにする。そんな物語をこれからも書いていきたいと思う。

  
このブロックはPCの画面サイズで非表示設定になっています
公開ページで表示したい場合は「ブロックの設定」から変更してください

刊行記念著者エッセイ
『悲しい』よりも
『楽しい』がいい

私は夫を自宅で見送った。自宅といっても賃貸のマンションである。

一緒になった時に2人で選んだ部屋であり、いつかはまた別の住まいへと移っていくものと思っていた。しかし、その部屋が夫にとって終の棲家となった。そこでの暮らしはわずか6年である。入退院を繰り返す夫と枕を並べて眠ったのは5年に満たないと思う。短い。最後の半年は在宅緩和ケアに切り替え、訪問看護に支えてもらいながら密度の濃い時間を過ごした。

夫の呼吸に耳を澄ませ、わずかに上下する胸を見て安堵し、いつも冷たく乾いた手を握って眠った。いや、実際にはほとんど眠ることなどできなかった。でも、私は願った。このままこの状態でもいいから、ずっと一緒にいたいと。

遠からず必ず消えると知っている命を見守るのは苦しい。その苦しさを抱えながら、愛する人のために懸命に生きる姿を描きたいと思った。おそらく根底にはつねに悲しみがある。恐怖があり、不安があり、虚しさがある。しかし、まだ彼はそこにいる。暮らしも守らなくてはいけないから仕事も続ける必要がある。その状況でも「最高」と思える日々を送れたら……。

そういう時こそ笑いと明るさが必要だと思う。ささやかな笑いでいい。から元気でもいい。そうしていれば何だか「大丈夫」と思うことができる。お世話になった看護師さんも、ヘルパーさんも皆、明るかった。元気でパワーがあった。夫も笑った。彼ら、彼女たちが帰った後、「楽しかったね」と2人で笑っていた。

そんな日々を物語にしたら『私が愛した余命探偵』はでき上がった。

幸せだけど、儚い日々を繊細なケーキに重ねた。ケーキは一時の幸せだ。しかし、パティシエの労力を惜しまない仕事が隠されている。華やかで繊細な形状。何層にも重なる違う味わい。中央に驚くべき仕掛けが隠れている場合もある。それらが見事にまとまり、完成されたケーキとなる。単純ではなく、いくつもの異なる要素が絡み合う。甘かったり、酸っぱかったり、ビターな場合もある。少し人生に似ている。

実は、私は洋菓子店で働いたことがある。クリスマスの時期は死ぬほど忙しい。何日も終電に間に合わないほどケーキと格闘する。もうやるものか、と何度も思った。しかし、私はその店を辞めた後、別の洋菓子店でも働いた。ようは、やっぱり楽しいのである。

愛すべき、けれど憎らしいケーキは、確実に人を幸せにする。そんな物語をこれからも書いていきたいと思う。


全国の書店員さん、読者から届いた絶賛の声


紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡さん
最高のお菓子がもたらす、幸せな温かい時間があふれる物語。読み終えた今も、永遠の奇跡のような、穏やかな時間の余韻が、胸にずっと残っています
うさぎや 矢板店 山田さん
たいせつな人はいつまでも心の中に在ると涙しました。
いつでもコイズミ洋菓子店で温まっていってください
宮脇書店 ゆめモール下関店 吉井さん

一星と二葉の気持ちがとてもよく伝わってくる。静かで暖かくてでもどこか覚悟が伝わってくるいい作品
そして登場する洋菓子がどれも美味しそうでした。
もしかして長月さんのお気持ちも入っているのではないかと思いながら読んで涙が溢れてきました。 素晴らしい作品をありがとうございました。

くまざわ書店 南千住店 鈴木さん

感動した。感動した。これほどまでに感情が震えたお話はかつてありませんでした。
あなたも読んで震えてください。感涙してください

見出し
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。
TSUTAYA サンリブ宗像店 渡部さん
甘くて美味しい洋菓子にそっと心が落ち着く。ただ悲しいだけじゃない。
優しさと愛に溢れた素晴らしい作品でした!!
BOOKアマノ 布橋店 山本さん

商店街の洋菓子店で働く二葉が入院中の夫で元常連客の一星に、お店で出会った不思議な出来事やお客さんの話を聞かせ、その謎を明かしていく。美味しそうなお菓子とお客さんや洋菓子店の人々、一星と二葉の二人が織りなす物語に心動かされる

有隣堂 町田モディ店 原田さん

二人の人生の中の短くも色濃い日々に、その後訪れる悲しみに打ち勝つ救いを求めてしまいます。
そこに住む様々な人々の生活に寄り添う小さな街のケーキ屋さんがお客様の心の拠り所になっていく事、また主人公だけでなくシェフ自身にもこれから人生における幸せが訪れるよう祈る気持ちで読み終えました

東京都 50代 男性
介護で日々懸命になっている方々にぜひ読んでもらいたい。これは、やるせなくて苦しくて、それでも真摯に前を向いて生きようとするあなたを支える物語です
愛しさと切なさと心細さと、、言い尽くせないたくさんの想いにきっと寄り添います。
見出し
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。
編集者からのおすすめ情報

重版を続ける話題のシリーズ「ほどなく、お別れです」
著者・長月天音さん、渾身の書き下ろし文庫が登場。

原稿やゲラでの作業中、何度泣かされたことか……。
実際に夫の闘病生活を支えた経験がある著者だからこそ書けたであろう、リアルな病室での描写や、切実な心情が胸に迫ります。
何より、泣いたあとは、前を向かせてくれる作品です。ぜひ、自分にとって大切な人のことを思いながら読んでください。

全国の書店または
こちらでご購入いただけます

者プロフィール

長月 天音 (ながつき あまね)
1977 年、新潟県生まれ。
「ほどなく、お別れです」で第 19 回小学館文庫大賞を受賞しデビュー。
著書に『ほどなく、お別れです それぞれの灯火』『ほどなく、お別れです 思い出の箱』『ただいま、お酒は出せません!』『神楽坂スパイス・ボックス』『キッチン常夜灯』などがある。


長月天音 ベストセラーシリーズ
「ほどなく、お別れです」


小学館文庫
ほどなく、お別れです
この葬儀場では、奇蹟が起きる。

夫の五年にわたる闘病生活を支えた著者が、死別から二年の歳月をかけて書き上げた「3+1回泣ける」お葬式小説。

大学生の清水美空は、東京スカイツリーの近くにある葬儀場「坂東会館」でアルバイトをしている。坂東会館には、僧侶の里見と組んで、訳ありの葬儀ばかり担当する漆原という男性スタッフがいた。漆原は、美空に里見と同様の“ある能力”があることに目を付け、自分の担当する葬儀を手伝うよう命じる。漆原は美空をはじめとするスタッフには毒舌だが、亡くなった人と、遺族の思いを繋ごうと心を尽くす葬祭ディレクターだった。

「決して希望のない仕事ではないのです。大切なご家族を失くし、大変な状況に置かれたご遺族が、初めに接するのが我々です。一緒になってそのお気持ちを受け止め、区切りとなる儀式を行って、一歩先へと進むお手伝いをする、やりがいのある仕事でもあるのです」--本文より
小学館文庫
ほどなく、お別れです 
それぞれの灯火
喪失の苦しみを優しくほどく、お葬式小説。

交通事故に遭った高校生、自殺した高齢女性、妻と幼い息子二人を遺し病死した男性、電車に飛び込んだ社会人一年目の女性……それぞれの「お別れ」に涙が止まらない、あたたかなお葬式小説、待望のシリーズ第二巻。
ほどなく、お別れです 
思い出の箱
ご遺族、故人の納得できる葬儀を行います。

清水美空は、スカイツリー近くの葬儀場「坂東会館」に務めている。訳ありの葬儀ばかりを担当する葬祭ディレクターの漆原のもとで、亡くなった人と遺族の気持ちに寄り添えるよう日々研鑽を積む毎日だ。入社して早二年、葬儀場の繁茂期である冬が訪れようとするころ、人員不足の現場に、大手葬儀場での勤務経験がある木暮千波が入社する。社長の甥でもある木暮は、坂東会館の現状に不満を漏らし、改革を断行しようとする。

グリーフケア小説として大反響のロングセラー「ほどなく、お別れです」シリーズ最新作!

コミカライズ版も大好評連載中

裏少年サンデーコミックス
ほどなく、お別れです 1

 原作/長月天音  漫画/込由野しほ