「王様のブランチ」で特集

賞金稼ぎスリーサム!

著者  :川瀬 七緒 
定価  :902円(税込)
ページ数:416ページ
発売日 :2023/8/4

THE ALFEE 高見沢俊彦さんから
コメントが到着!

「ハンターに元刑事に警察マニア!
アンバランスな関係はTHE ALFEE級!
ぶっ飛び度はメタル級で
面白さはアリーナライブ級でした!」
 
高見沢俊彦
(ミュージシャン、作家)

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最強のはぐれ者たちが難事件に挑む!

麻布署捜査課の元警部・藪下浩平は、ノンキャリアながら出世を期待される優秀な警察官だったが、42歳で退職。現在は自宅で母親の介護している。あるとき、そんな藪下の元に弁護士が現れる。何者かが藪下に高額な報酬で、報奨金がかけられた事件の調査を依頼してきているという──。

薮下は渋々引き受けた調査を進めるうち、アジア圏シェア1位の製糖会社の御曹司で生粋の女たらし、さらに度を超えた「警察マニア」でもある桐生淳太郎、真っ白いレースの日傘とワンピースで事件現場に通う、あらゆる狩猟資格と銃所持許可証を持つ謎多きハンター・上園一花と出会い、3人は報奨金だけを共通の目的にしたチームを組むことになる。

事件は東京の下町で起きたペットショップ放火事件。死者は6名。容疑者は元ペットショップ店主の相原幸夫だが、藪下は真犯人は別にいると考えている。年齢も性格もバラバラの、クセが強すぎる3人は、報奨金を手にすることができるのか!?

「王様のブランチ」で特集され話題に!
乱歩賞作家が描く、予測不能のノンストップ痛快ミステリ、待望の文庫化!!

クセが強すぎる3人とは・・・

  • 藪下浩平(43)・・・麻布署捜査課の元警部 #マザコン #中年 #独身

    桐生淳太郎(33)・・・アジア圏シェア1位の製糖会社の御曹司 #警察マニア #生粋の女たらし

    上園一花(24)・・・白いレースの日傘とワンピース #コミュ障 #凄腕ハンター

著者より

  • 悪党を追い詰める「賞金稼ぎ」という職業は世離れしたものであると同時に、これほど幅広い世代に認知されているものもないと思っている。昔から西部劇の多くは賞金稼ぎがテーマであるし、だれもが知るスター・ウォーズにも、ボバ・フェットという凄腕バウンティハンターが登場する。ジブリの紅の豚ではポルコ・ロッソがアドリア海を舞台に大活躍し、タランティーノの最新作でもこのあたりが掘り下げられている。賞金稼ぎが主題の創作物は時代物からハードボイルド、そしてコメディやアニメやゲームにいたるまでまんべんなくカバーし、抜けがないのである。

    私が賞金稼ぎというものに興味を抱いたのは、2007年に警察庁が捜査特別報奨金制度を発表したときだ。犯罪に関する情報を広く国民から募る制度で、有力なものには上限で原則300万が支払われる。海外の高額報奨金とは比較にならないほど少額だが、この制度の実施を聞いて私の創作欲は掻き立てられた。ついに日本でも賞金稼ぎの名乗りを上げる者が現れる、ここまでを無邪気に想像したからだ。

    とはいえ、我が国の制度は個人が凶悪犯を追跡する性質のものではない。あくまでも情報の提供を目的としており、報奨金も前述の通りだ。考えるまでもなく、現代の日本で職業にしようということ自体が馬鹿げているのである。

    私はこの物語を執筆するにあたり、おとぎ話にはしないと決めていた。2019年の東京を舞台に、現実でも起こり得るラインを絶対に死守すること。正直、この縛りには苦しめられたし後悔もしたが、おかげで暑苦しいほど自己主張の激しい登場人物を生み出すことには成功したと思う。

    主人公のひとり、藪下浩平は母親の介護をするために警察を辞めた元刑事。桐生淳太郎は大企業の御曹司でありながら、警察マニアというアングラな趣味に没頭する倒錯者。上園一花は極度のコミュニケーション障害を抱えながらも、人とのかかわりに飢えている孤独な狩猟免許取得者だ。物語はこの三人を軸に進むのだが、年齢も育ちも道徳観念すらも異なる者の距離がそう簡単に縮まるはずもない。しかし欠けた部分を補い合える関係なのでは……と気づいたとき、それぞれの異質な才能がどう嚙み合っていくのかが、物語の裏側に流れるテーマにもなっている。

     まあ、こんな著者の思い入れは二の次だ。とにかく『賞金稼ぎスリーサム!』を楽しんでいただければ幸いである。

    (小説丸2019/10/30 より転載)

著者プロフィール

川瀬 七緒
かわせ ななお/1970年福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。2011年『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。著書に「法医昆虫学操作官」シリーズ、「仕立屋探偵桐ヶ谷京介」シリーズ、『女學生奇譚』『フォークロアの鍵』『テーラー伊三郎』『四日間家族』などがある。

撮影/浅野 剛