「王様のブランチ」で紹介!

教室のゴルディロックスゾーン

著者  :こざわたまこ
装画  :宮下 和

定価  :1,870円(税込)
ページ数:290ページ
発売日 :2023/6/28

全国の書店または
こちらでご購入いただけます

中学校のクラスに馴染めず、現実から妄想の世界に逃げがちな依子。彼女が頼れるのは 父と、幼い頃から一緒に育ってきた愛犬のトト、そしてたった一人の友人・さきだけだった。しかしクラス替えからしばらくして、さきは依子を避けるようになる。

どうして? なんで?

今までのようにさきと仲良くしたい依子だったが、新しい友達と一緒にいるさきは、話し掛けてもすぐに離れていってしまう。
いっぽう、クラスメイトの伊藤さんは、クラスでいちばん目立つグループに所属しながらも、誰にでも分け隔てなく接してくれる女の子。優等生タイプの子にも、オタクっぽい子にも、そして依子にも話し掛けてくれる。
そんな彼女を好ましく思う依子だったが、伊藤さんと同じグループのリーダー・濱中さんに苦手意識を抱いているため、自分から話し掛けることはできなかった。 その後、事態は伊藤さんのけがを契機に思わぬ展開を見せる。

自分の居場所を見つけられない人、探してしまう人へ贈る、著者渾身の連作短編小説。

「最高の少女小説が誕生した」

大盛堂書店 山本亮さん大絶賛!

「残酷な日常が永遠に続くように見えても、
孤独だからこそ出会えた幸福がこの物語には確かにある。
最高の少女小説が誕生した」

 

本文より

  • 「伊藤さんに声をかけられた時、思ったの。私も、入れるかもしれないって。みんなと同じ、ゴルディロックスゾーンに」
     伊藤さんが、ぽかんとした顔で私の言葉を繰り返した。と言っても一度聞いただけでは覚えきれず、「ゴル・・・・・・? え、何」と首を傾げている。そうだ、あの時テレビに映っていた案内役の老人は、こんなことを言っていた。
    『宇宙において生命の誕生と生存の維持に適した領域のことを、ゴルディロックスゾーン、と呼びます』
     ゴルディロックスゾーン。恒星から近すぎも遠すぎもせず、暑すぎもしなければ寒すぎもしない、つまり ”ほどほどの、ちょうどいい場所”。そういう環境のことを、ゴルディロックスゾーン、あるいは生存可能領域と呼ぶことがあるらしい。逆にその領域を外れれば、生き物は存在することすらできない。それを聞いた伊藤さんが、一瞬何かを言いたそうな顔で私を見て、すぐに目を伏せた。
     私は教室の隅で自分の居場所をーー自分だけのゴルディロックスゾーンを探していて。伊藤さんにグループに誘われた時、やっとそれを見つけた気がした。
    「でも、無理だった」

ポッドキャストで聴く

著者インタビュー

著者プロフィール

こざわたまこ
1986年、福島県生まれ。専修大学文学部卒。2012年「僕の災い」で「女による女のためのR-18 文学賞」読者賞を受賞。同作を収録した『負け逃げ』でデビュー。その他の著書に『仕事は2番』『君には、言えない』(文庫化にあたり『君に言えなかったこと』から改題)がある。