男性たちから総額約1億5千万円を騙し取り、
その方法を"魔法のマニュアル"として販売し、
逮捕された「頂き女子りりちゃん」。
だまし取った金をすべて歌舞伎町のホストにつぎ込んでいたこと、
「頂き女子りりちゃん」と名乗り、"配信"を行っていたことなど、
様々なエピソードや特異なキャラクターによって、
逮捕から裁判、そして実刑判決まで一挙手一投足が注目を浴びた。
その事件を、接見・裁判傍聴・関係者取材の果てに描き出す。
「りりちゃん」に引き込まれ、
ゆさぶられながらも
熱意と情動で対峙し続けた
全力ノンフィクション
著者:宇都宮直子
定価:1,870円(税込) 発売日:2025.7.10 ページ数:256ページ
男性たちから総額約1億5千万円を騙し取り、その方法を"魔法のマニュアル"として販売し、逮捕された
「頂き女子りりちゃん」。
だまし取った金をすべて歌舞伎町のホストにつぎ込んでいたこと、「頂き女子りりちゃん」と名乗り、"配信"を行っていたことなど、様々なエピソードや特異なキャラクターによって、逮捕から裁判、そして実刑判決まで一挙手一投足が注目を浴びた。
その事件を、接見・裁判傍聴・関係者取材の果てに描き出す。
「りりちゃん」に
引き込まれ、
ゆさぶられながらも
熱意と情動で
対峙し続けた
全力ノンフィクション
著者:宇都宮直子
定価:1,870円(税込)
発売日:2025.7.10
ページ数:256ページ
「誰も知らない、わたしだけの物語」
「りりちゃん」は数年前、SNSにポツリと投稿していたことがある。「頂き女子」としてホストクラブで豪遊する姿や、大量の札束の画像がアップされる中で、その呟きだけがなにか、非常に異質に感じられ、当時の私に強烈な印象を残していた。
都心の大型書店に行き、「渡邊被告はどんな本を読んだら気がまぎれるだろうか」と、各階を回り、彼女が喜びそうな書籍を探す。(中略)つまり、渡邊被告とのやりとりは、私にとって記者生活20年の信条に反することだった。
しかしこの時はそのことに、
自分ではまったく気が付かなかった。
2023年8月「頂き女子りりちゃん」こと渡邊真衣被告が逮捕された。彼女が男性の恋愛感情を利用して騙し取った約1億6000万円がすべて歌舞伎町のホストに注ぎこまれていたことを発端に「担当」に熱を上げる女性たちが“立ちんぼ”や“海外出稼ぎ”で体を売ることにより店に通う資金を捻出し、またホスト側も女性たちに売春を強要する「悪質ホスト問題」が可視化された。問題は、国会でも取り上げられ歌舞伎町を飛び出し全国区のものとなった。
一方で歌舞伎町、そしてホストとそこに通う客をテーマとした作品は増えている。とりわけ驚いたのは2025年正月に『新・暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)でも「江戸時代のホスクラと騙されてそこに通う町娘」が重要なキャラとして登場したことだ。「ホストクラブ」と「客」は「エンタメ」「娯楽」として消費されているように見える。その「ストーリー」の裏側には、歌舞伎町以外では生きていくことができず、売り上げをたてなければ住む家すらなくなるようなホストたちと、彼らのために女性たちが流した“血”と“涙”の切実なリアルがあることを、どれほどの人たちが理解しているのか。
渡邊被告は「りりちゃん」として主にSNSを中心として活動していた。昨今では事件の関係者や本人がネット上で自ら発信することが多く、取材でもSNSに書かれた内容をヒントとしたり取材申請ややりとりをしたりの「空中戦」が増えている。しかし今回の取材により彼女が拘置所から発信した「ごくちゅうにっき」、面会での言葉だけに頼るのではなく被害者の方を始め周辺を丹念にたずね、その“姿”をとらえ直すことの大切さを改めて痛感した。話を聞かせて頂いた皆様に深く感謝いたします。
――宇都宮直子
私は今日も、担当に愛を課金する――
「彼がわたしの王子です」
きらびやかなシャンデリアの下、薄化粧をした男性の隣でこのうえなく幸せそうな微笑みを見せる彼女は、今晩“王子”のために、いくら課金するのだろう――。
パパ活で、風俗で、AVで・・・・身を粉にして稼いだ大金を、彼女たちはなぜホストに捧げるのか。そして、何を得ようとしたのか。
日本一の歓楽街に入り込み、見つめ続けた歌舞伎町ノンフィクション。
私は今日も、
担当に愛を課金する――
「彼がわたしの王子です」
きらびやかなシャンデリアの下、薄化粧をした男性の隣でこのうえなく幸せそうな微笑みを見せる彼女は、今晩“王子”のために、いくら課金するのだろう――。
パパ活で、風俗で、AVで・・・・身を粉にして稼いだ大金を、彼女たちはなぜホストに捧げるのか。そして、何を得ようとしたのか。
日本一の歓楽街に入り込み、見つめ続けた歌舞伎町ノンフィクション。