いつまでも涙が止まらない、
心あたたまる物語。 

銀座「四宝堂」文房具店

小学館文庫
著者  :上田 健次 

定価  :770円(税込)
ページ数:320ページ
世代を超えて愛され、
続々重版!

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老舗文房具店で紡がれる
感動の連作短編集

銀座のとある路地の先、円筒形のポストのすぐそばに佇む文房具店・四宝堂。創業は天保五年、地下には古い活版印刷機まであるという知る人ぞ知る名店だ。店を一人で切り盛りするのは、どこかミステリアスな青年・宝田硯。硯のもとには今日も様々な悩みを抱えたお客が訪れる――。

両親に代わり育ててくれた祖母へ感謝の気持ちを伝えられずにいる青年に、どうしても今日のうちに退職願を書かなければならないという女性など。困りごとを抱えた人々の心が、思い出の文房具と店主の言葉でじんわり解きほぐされていく。

いつまでも涙が止まらない、心あたたまる物語。

読者レビュー

涙が止まらないという帯の言葉。いつもは馬鹿にしていましたが今回は本当でした。
久しぶりの私の大当たり本です。(40代 女性) 
文房具が好きなのでどんなお話なんだろうと思ったのですが、よく使われる文房具の使い方、選び方を見直すことでこんなに素敵なお話になるんだなぁと驚きました。どのお話もいい方向にまとまったので安心して読むことができます。読後は友人に手紙を書きたくなりました。 (30代 女性) 
上田健次先生の人情味あふれる短編が大好きになりました。(60代 男性)
絶対続編出て欲しいです。(50代 女性)
文房具一つ一つにそれぞれの持ち主の思い入れや思い出があって、じんと心温まるお話でした。
(40代 女性)
文房具が好きなので手に取った本。四宝堂店主の硯さんの言葉にこちらも背中を押してもらえた気がします。良書を買えて良かったです。 (40代 女性) 
文房具が好きなのでどんなお話なんだろうと思ったのですが、よく使われる文房具の使い方、選び方を見直すことでこんなに素敵なお話になるんだなぁと驚きました。どのお話もいい方向にまとまったので安心して読むことができます。読後は友人に手紙を書きたくなりました。 (30代 女性) 

目次

*万年筆
*システム手帳
*大学ノート
*絵葉書
*メモパッド

著者プロフィール

上田 健次(うえだ けんじ)

1969年生まれ。東京都出身。
2019年、第1回日本おいしい小説大賞に「テッパン」を投稿。2021年、同作を加筆修正しデビューする。

撮影:皆木優子

担当編集者より

読んで字のごとく、本作は銀座のとある文房具店を舞台にした物語となっています。

前作『テッパン』のご執筆後、「次はどんな作品を作りましょうか」と著者の上田健次先生と話していたところ、「読書が好きなかたって、文房具も好きな人が多い気がするんですよね」というアイディアをいただきました。

思えば、書籍と一緒に文房具を販売する書店様も多いわけですから、文房具と本、どちらも好きという人が多くいることもうなずけます。このアイディアにのらない手はないと、新作は文房具店を題材にした小説にすることが決まりました。

こうして、まずは舞台となる「四宝堂」という文房具店が誕生したのです。さらにそこからどんな特徴がある店にしましょうかという話の中で「2階がワークショップスペースになっていて、手紙が書ける店なんてどうでしょうか」と、これまた上田先生のアイディアが冴えわたり、舞台が整っていきました。

もちろん、とんとん拍子にうまくいく、だけではありませんでした。たとえば、当初は上記の「手紙を書く」ことに、よりフォーカスされた物語案になっていました。

ただ、そうなるとどうしても扱える「文房具」の種類が限られます。「文房具が好きなかたに楽しんでいただくのならば、より多種多様な文房具に光をあてたほうがよいのではないか」。そうした必要な回り道を経て、様々なお客様が十人十色の思い出の文房具を携えやってくるという本作の骨子が出来上がっていったのです。

作品の構想を話し合いはじめたのが2021年の初夏のことでしたので、刊行まで足掛け1年以上、ようやく発売を迎えられました。

書籍の帯にも掲載されていますが、いち早く作品を読んでくださった読者のかたからは、「文房具が好きな人にぜひ読んで欲しい一冊」「文房具ならではの良さを再確認できる物語」と、早速ありがたい感想をいただくことができました。

モンブランさんの万年筆から、コクヨさんのキャンパスノートまで。本作には思い出の文房具として、実在の文房具が多数登場します。読後、面白いと感じていただけましたら、ぜひ、皆さまの思い出やお気に入りの文房具を使い、本作の感想を書いていただければ、これほど嬉しいことはありません。

え? 感想文を書くなんてハードルが高い? そんな時は作中に登場する「四宝堂」店主・宝田硯(たからだ けん)のこんなセリフを思い出してみてください。

「まずは頭に浮かんだ言葉や文字をどんどん書き出すことをお勧めします。文章としての組み立ては、その後に考えれば良いかと。ああっ、間違ったとか、違うなと思った箇所は一本線で消すと良いですよ。あとで『やっぱり、あれ、使いたいな』と思った時に、読み返すことができるようにしておくことが大切です。ノートは御本人以外が目にすることはありませんから、丁寧に書く必要はないと思います。とにかく、頭に浮かんだ言葉をどんどん書き出す。それが大切です」

いかがでしょうか、これなら書ける気がしませんか? 効果は抜群だと思いますよ。何をかくそう、紹介文の〆切をとっくにすぎ、何を書こうか、うんうん唸っていた私が今、おかげで執筆を終えようとしているのですから。

上田健次 デビュー作

テッパン
小学館文庫
著者  :上田 健次
定価  :704円(税込)
ページ数:272ページ

中学卒業以来、三十年以上もほっぽられたタイムカプセル。その中から出てきたのは、中学生ながら屋台を営む町一番の不良、東屋との思い出の品で――。平凡な「僕」と不良の「あいつ」が紡ぐ、ひと夏の切ない物語。